Anchor Brewing Company(アンカー・ブリューイング・カンパニー)

諸説あると思いますが、米国で最古とされる1896年創業のクラフトブルワリー。ビール好きで、サンフランシスコに立ち寄る方は、訪問必須の場所だと言い切ります。日本での印象とは異なり、もの凄く人懐っこくて、誰でも受け入れてくれる素晴らしいブルワリーです。




日本では、アンカースチームが有名ですが、ところがどっこい、現地では、アンカースチームのみならず、バラエティ豊かな様々なビールを醸造していてビックリしました。2017年9月には、初めてNE IPA(ヘイジーIPA)を醸造したそうです。ホームページからパブリックツアーが申し込めます。2017年9月時点のツアー料金は、25USDで、1.5時間の説明&ビール飲み放題を含んでいます。

さて、アンカーブリューイング、サンフランシスコのダウンタウンの中心部からは、北へ歩いて40分位のところにあります。オレ的感覚では、40分歩くのは普通なんですが、ブルワリーで一緒になった地元の方からは、クレイジーだと言われてしまいました。でも、歩くと、色々な発見があって面白いですよ。ちなみに、サンフランシスコのダウンタウンから行く場合は、5th Streetは使うなと地元の方が強調していました。できれば、4th streetを使えと。streetによっては、ホームレスが多く、カナリ危険なんだとか。。。。

さてさて、到着すると、最初の写真のように美しい建物が2つあります。白い建物に醸造設備が入っています。1階の入り口に入ると、まずは強烈なモルトの香りがします。他のブルワリーでは感じたことが無い位に強烈でした。入り口で予約の名前を伝えると、ツアー参加者用のリストバンドを手首に付けてくれます。ちなみに、予約は必須のようです。1ツアーで40人位参加できるのですが、週末のツアーは毎回満員御礼だそうです。

リストバンドを付けると、参加者は、2階のオフィス&醸造場に通されます。そこでは、Tシャツ、グラスなどのグッズやビールを購入することができます。そこで、暫く、ツアーが始まるまで待ちます。

すると、男前で女の子にモテそうだけど、腕っぷしが強そうで漢気がありそうなスティーブさんが、参加者に「gathering!」と言って、ツアーが開始です。彼は、凄くクレバーで、色々な国の参加者が居ることを見込んで、ユックリ且つ分かり易い英語でツアーを進めてくれます。英語が苦手なオレでも凄く楽しめました。

ツアーの最初は、アンカーブリューイングの歴史から説明してくれます。と、その前に、アンカースチームで乾杯してから、ツアーが始まります。まずは、喉を潤すあたりが素敵なツアーです。

アンカーブリュワリーは、1800年代後半醸造開始の最古のクラフトブルワリーです。ナンと?!ゴールドラッシュの頃の話から始まります。ドイツ人の醸造技術者”ゴットリーブ・ブレクル”は、一攫千金を狙って、ゴールドを掘りにきたところ、既にゴールドが取れづらくなってきていたそうで、一攫千金を狙わずに、一攫千金を狙っていた人にビールを飲ませる商売を始めたそうです。その時の、ブルワリーの名前は、アンカーじゃなかったと言っていた気がする。当時は冷蔵設備が整わず、サンフランシスコの気温はラガーイーストには適していなかったそうです(サンフランシスコは、ラガーイーストには、少々高温だったそうです)。でも、ドイツのレシピでビールを醸造したいと思った彼は、高温の状態でラガーイーストを使ってビールを醸造したのが、スチームビールの始まりだそうです。ツアーでのお決まりのジョークだそうですが、スチームが上がるほどの高温では醸造してないよ!イーストが死んでしまうよ!!とのこと。その後、メイタグによる買収などの話に繋がり、アンカーブリューイングの歴史の話は終わります。

その後、醸造設備の案内が始まります。これが、結構楽しいです。場所に応じて香りが変わるんです。最初は、モルトの香り、ウオートの香り、ホップの香り、そして、エステルの香りなどのよう場所によって香りが変化していきました。

まずは醸造設備(モルトの香りがします)

一次発酵槽。上表面に見える白い泡はイーストです。(エステルっぽい、イーストの香りがします)

二次発酵槽

ホップ保管庫(生ホップが保管されています。当然、ホップの香りが強烈です)

廊下が広くて綺麗です。

感想としては、意外に小ぢんまりとしたブリュワリーと言った感じ。明らかに、日本のベアードビールの方が大きいです。アンカーのビール作りに共感できるところは、有名ブリュワリーとは思えない、1バッチ当たりの少ない醸造量(500L位と言っていたと思う)。そう、日本でのイメージとは違い、小バッチ多品種のブリュワリーなんです。また、ホップも原則、生ホップしか使わないというこだわりようです(また、生ホップを使っていることを売りにしていないところが、何かカッコ良くないですか?)。そして、ローカルの小さなブリュワリーや、コーヒー豆の焙煎所とコラボレーションもするようです。アンカーブリューイングにはスチームとリバティしか無いと思っていたオレは、凄く驚かされました。後、一番良いなぁと思ったことは、働いている人同士が凄く仲が良さそうなところです。これって、大事ですよね。ちなみに、醸造者の方が近くのコーヒーショップで買ってきたブラックコーヒーに「実験!」と言って、ポーターを注いでいるのを見たら、凄く微笑ましかったです。

ツアーが終わると、お待ちかねのビール試飲です。といっても、アンカーのツアーの良いところは、実質飲み放題です。手に持っているグラスをスティーブさんに渡して、飲みたいビールの銘柄を指定できます。

俺が飲んだ主なものは以下のものです。もっと飲みましたが、写真を撮り忘れました。

まずは、フラッグシップのAnchor Steam、1896年に醸造開始   。モルティで甘味が有るビール。ライトラガーとは明らかに一線を画すビールです。当初から醸造し続けている最古のクラフトビールです。

Mexican Style Lager。地元のサンフランシスコジャイアンツの試合がある間しか醸造されないようです。訪れたときは、9月で、ジャイアンツはワールドシリーズへの進出が絶望視されていたため、このビールはもうすぐ飲め無くなるよと自虐的に話していました。味的には、ドライでライトなので、夏の野球シーズンに球場で飲むには凄く良いかも。
 

Blood Orange Blonde。日本では見たことありません。オレンジピールのビタネス感とオレンジの甘さとを同時に味わえる夏にピッタリのビールです。
 

Mango Wheat。マンゴーの香り、味はパッションフルーツ感が良い感じです。少し、薬的な香味も。なんとなく、ドクターペッパーにマンゴー感を加えたビールな感じです。ちなみに、今、アメリカでは、マンゴーをビールに添加することが流行っているそうです。
 

Liberty Ale。1975年醸造で、アメリカで醸造された最も古いIPAの一つとのこと。シトラスの香り、少しモルティなボディにビタネス、後口で松やにの香りが残ります。今となっては、ビタネスは控えめかなぁとか思ったのですが、リリースした1975年にIBU:44は、強烈だったそうです。誰しもが最初に放った言葉は、「苦くて飲め無い」だったそうです。
 

Anchored at Local, アンカー初のヘイジーIPA

そんなパブリックツアーの最後の方では、ブルワリーの方々とお話しをする機会がありました。最も話題となったことは、アンカーが日本のサッポロビールに買収されたことです。アンカーのブルワーの方々は、サッポロビールの人たちと直接会って、話をした後だったようで、サッポロビールを好意的に受け入れていました。また、サッポロビールがアンカーのビールに直接手を出すことは無いらしく、ビールの醸造は、今まで通り、サンフランシスコで彼らの手で、彼らの意思のままに醸造され続けられていくそうです。なんとなく、ホットしました。

サンフンシスコに行かれるビール好きの方に、強くお勧めできるパブリックツアーですが、アンカーのホームページから予約できます。ちなみに、子供も参加可能です(もちろん、試飲はできませんが)。なので、家族旅行でサンフランシスコに訪れた人にもお勧めできます。

アンカーブリューイング
住所:1705 Mariposa Street San Francisco, CA 94107
URL:https://www.anchorbrewing.com

ウルケル田中


Anchor Brewing Company(アンカー・ブリューイング・カンパニー)

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