京都醸造のタップルーム。楽しくて、良い思い出しかない。そんな記憶がビールを美味しくしてくれるのかも知れない。思い出は残っているが、「黒潮の如く」は、京都醸造で購入した最後の1本だったので、京都醸造のビールが無くなってしまった。
私は、ビールを飲むときの最後の締めの1杯は、黒系のビールを飲むことに決めている。最初の1杯だけで終わるスタウトのときもあれば、IPAの後にポーターのときもあったり、数杯のビールを飲んだ後にシュバルツのときもある。最初は、黒系ビールを最後の1杯として選んだ理由は、黒系ビールの香味が特徴的で、酔っぱらっていたとしても、味わいが楽しみやすいからだった。クラフトビールを飲み進めて行くにつれて、黒系のビールは、私にとって、「さようなら」を意味するようになった。そんな意味を込めて、京都醸造の最後の1本は、「黒潮の如く」にすることを、京都醸造のタップルームで購入したときから決めていた。
ただ、「黒潮の如く」を実際に飲んでみると、飲んでいる途中から京都醸造のビールが既に恋しくなってしまった。このビールのネーミングのとおり、京都に戻れば良いんだ。「そうだ京都、行こう」の精神を体現したいと感じた。
外観は、漆黒の黒で、ヘッドは少々立つ程度。泡はキメ細かくて、グレーな色合い。
香りは、焙煎的香りと、スパイシーな香り。
飲んでみると、ドライなボディに、ビタネスが効いている。ビタネスは、焙煎的な苦みとホップ的苦みが感じられ、2つのビタネスが絡み合うような複雑な苦みが楽しめる。ビールが喉を流れると、鼻に抜けるロースト香が、心地よい。ビタネスを最初に感じた後には、スパイシーな味わいと酸味が感じられる。苦味、酸味、スパイシーな味わい、そして、ロースト香と奥行がある香味だ。後口でも、焙煎香と苦みの香味が楽しめる。美味しいビールだ。
アルコール度数は、5.0%と、シッカリと重めめの味わいの割には控えめな数値だ。スタイルは、ベルジャン・スタウト、あまり、聞きなれないスタイルだ。
こちらのブリュワリーのページで紹介されているとおり、ポーター、スタウト、シュバルツなどの、いわゆる黒系ビールの日本での立ち位置は、IPAと比較すると、比較的低い位置に置かれていると思う。ということは、日本で、黒系ビールを広めれば、ビールファンの好みのバリエーションが増えるということだ。まだまだ、ビールが拡大する余地は有りそうだ。
最後に黒系ビールで締める。お勧めできる飲み方である。あっ、最後は、ポーター、スタウト、シュバルツの少なくとも3杯か。これは、大分酔いそうだな。
ビタネス: 3.5
モルティ:2.5
ドライ:3.5
酸味:2.5
スパイシー:3.0
炭酸:3.0
ウルケル田中