1845年から醸造を続けるイギリス、ロンドンにある歴史のある醸造所。フラッグシップエールであるロンドンプライドは、特に有名で、イングリッシュ・ペールエールの基準とされる。
こちらの醸造所は、ビンテージエールとして1997年から毎年クリスマスシーズンにアルコールが少々高めのエールを醸造している。歴史がある醸造所ではあるが、冒険心に富んだ部分もあり、ビンテージエールについては、毎年レシピを変えている。ビンテージエールが入っている箱又は瓶にその年の原材料が書かれているので、違いを確認しつつ、異なるビンテージのものを飲み比べたりすると楽しいかもしれない。
今回飲んだビールは、ビンテージエールの中でもさらに特別なエールであり、170周年記念エールである。リリースは、2015年なので、約4年間寝かせたことになる。4年間寝かせたビールを飲むことは、あまり無いことなので、良い経験ができた。
外観は、銅っぽさがある琥珀色で、少しブラウンっぽさもある。ヘッドは立たずで、泡はキメ細かい。
香りは、ハチミツを思わせる甘い香りに、酸味を思わせるオレンジを主体としたフルーツの香り、そして、控えめなロースト香。
飲んでみると、モルティで甘めのボディに、控えめなビタネス。ビスケットのような香ばしい香味。ビールが喉を流れるときの鼻に抜けるロースト香が心地よい。後口でも、甘さと、ロースト香が感じられる。美味しい。
外観では、ガスが弱めに見えたが、飲んでみると意外にもガスが強くて舌にピリピリとしたガスの感覚が感じられる。ガスのおかげか、後口で甘さを感じるが、予想に反して飲み口がスッキリ。
昨今、インペリアル系ビールなどの高アルコールビールの存在が当たり前になってきたからか、アルコール度数7.0%は大したこがないと思えてしまうが、醸造開始の1997年ころは、稀有な存在であったのだろうか?歴史を感じると、ついつい当時のことに思いを馳せてしまいたくなる。久々に司馬遼太郎を読みたいと思わせてくれるようなビールだ。
ビタネス:2.5
モルティ:4.0
ドライ:2.0
酸味:1.0
スパイシー:1.0
炭酸:2.5
ウルケル田中