大手ビール会社が作る、普段のビールとは少し違う濃い目のラガー。
外観は、オレンジが少し入ったゴールデン、ヘッドは少し立つ程度、泡は、粗い部分もあれば、キメが細かい部分がある、ナチュラルカボネーションと強制カーボネーションとを組み合せたハイブリッド型のような泡です(そんな型があるか知らないけど)。
香りは、金属っぽい、特に銅を感じる。少し、パイナップルの香り。
飲んでみると、普段のキリンのビールよりも少しだけモルティ。でも、ドライ目なボディを持つビールとしてカテゴリ分けされると思う。ビタネスは、通常のキリン商品より少々苦い程度。アルコール度数6%と少々高めだが、それを感じさせない。ドライなボディがスッキリ感を演出して飲みやすい。少しアルコール度数が高いビールの中では、飲みやすさにオリジナリティを感じるビール。
さてさて、“Dip Hop IPL”の「IPL」は、ご存じの通り「India Pale Lager」の頭文字です。
いわゆるクラフトビールのウリの一つに「India Pale Ale(IPA)」がありますが、このキリンのビールは、酵母ちゃんに「Ale」を使わずに、「Lager」を使うことでキリンの独自性を出し、「India Pale Lager」と銘打っているビールです。一般的に、「Ale」は、「Lager」よりも華やかな香りをビールに与えるとされています。
私的には、ホップの香りが強い最近の流行のビールにおいて、酵母ちゃんが「Ale」なのか「Lager」なのかを区別できる能力を持っていないので、どのようにして区別すべきなのをご教授していただける人が居ると嬉しいなぁとか勝手に思ってます。なので、今回の「Lager」の特徴は発見できませんでした。
一般的に、「India Pale ~」の特徴は、高めのアルコール度数、濃い目のホップの香り、強めのビタネスです。
“Dip Hop IPL”は、「高めのアルコール度数」という点では、このビールは6%です、「濃い目のホップの香り」という点では、少しだけ香るパイナップルが特徴でしょうか?、「強めのビタネス」という点では、最近の流行のクラフトビールのIPAと比べると物足りない感じですが、キリンの他商品「一番搾り」、「キリンラガー」と比べると少しビタネスが強いという点でしょうか?ちなみに、IBUは公表されていないようです。
“Dip Hop IPL”の「Dip Hop」は、一般的な表現ではなく、キリンのホームページによると、「キリンビールが新たに開発した独自の製法」だそうです。で、その製法は、「ホップを発酵中に漬け込むことで、従来の製法では叶わなかった、複雑な香味を引き出すことに成功しました。」とあります。
発酵中のビールにイーストを投入する製法として、「ドライホッピング」が従来から知られています。「ドライホッピング」は、最近のクラフトビールでも、いわゆる老舗ビールのOrvalでも使われている製法です。キリンは、「ドライホッピング」ではなく、「Dip ~」という表現を使っているので、キリンの製法では、ホップが「ドライホッピング」よりも良く「Dip」されている(漬け込んでいる)点で違うのだと思います。あくまでも、想像ですが。
こんな感じで、このビールには、「Dip Hop」製法、酵母ちゃんを「Ale」ではなく「Lager」を使うという、これら2点にビール製造の独自性があります。香味的には、通常のキリン商品とクラフトビールとの中間(もしくは通常のキリン商品より)の香味を狙っている感じです。クラフトビールの入門編としては、香味、価格的にもお勧めできるビールかと思います。自称「初めての美味しいビールの相談員」には、ありがたいビール。でも、ホップヘッドにはモノ足りないビールかと思います。
ウルケル田中